裁判員裁判の日当はいくら?上限額や交通費・税金の注意点を徹底解説
突然自宅のポストに届く最高裁判所からの封書。ある日予期せず「裁判員候補者」に選ばれたとき、多くの人が真っ先に抱く疑問が「仕事を休んだら日当はいくら支給されるのか」「交通費や宿泊費は出るのか」「会社から給料をもらいながら日当を受け取ると二重取りになるのか」という経済面・労務面の実態です。
国民の司法参加として2009年にスタートした裁判員制度ですが、日当の支給基準や税法上の扱い、辞退基準の厳格さについては意外と知られていません。最高裁判所が定める最新の手当基準や拘束時間、確定申告が必要になる「税金の落とし穴」まで、現場のリアルな運用実態を分かりやすく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:裁判員の日当は1日あたり最大1万900円以内、裁判員候補者(選任手続きのみ)でも最大8,000円以内が拘束時間に応じて支給される。
- 要点2:日当とは別に最も経済的な通常の経路による交通費(実費)と、遠方の場合の宿泊料(定額)が後日指定口座へ全額振り込まれる。
- 要点3:日当は税法上の「雑所得」(源泉徴収なし)に分類され、給与所得者でも副業や他の雑所得と合算して年間20万円を超える場合は確定申告が義務付けられる。
【支給基準】裁判員裁判の日当はいくら?選任前後の金額と上限額の仕組み
裁判員やその候補者として裁判所に出頭した場合、国の公務として従事した対価および実費弁償として「日当」が支払われます。この支給額は一律ではなく、最高裁判所が定める「裁判員の旅費、日当及び宿泊料に関する規則」に基づいて拘束時間ごとに厳密に算出されます。
裁判員・補充裁判員に選任されて実際の審理や評議に参加する場合、日当の上限額は1日あたり1万900円以内です。実際の金額は裁判所の拘束時間によって変動し、午前から夕方まで終日拘束される審理日には満額に近い1万円前後、午後のみや短時間の審議で終わる日は数千円程度(半日基準)に設定されます。
選任される前の「裁判員候補者」の段階で選任手続きに出頭した際にも日当は支給されます。選任手続きにかかる時間は午前のみ、あるいは午後のみの半日程度で終わることが多いため、候補者の日当は1日あたり上限8,000円以内(実務上は半日拘束で4,000円〜5,000円前後)となるケースが一般的です。最終的に裁判員に選ばれず不選任となった場合でも、出頭した事実に対して規定通りの日当が全額支払われます。

【データ比較】裁判員・候補者の日当・交通費・宿泊手当一覧
裁判所から支給される手当は、日当だけでなく交通費や宿泊料を含めたパッケージとして設計されています。具体的な支給基準と現場での運用相場を整理しました。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 裁判員・補充裁判員の日当 | 1日あたり最大10,900円以内 | 終日審理:約8,000円〜10,000円 半日審理:約5,000円前後 | 時給換算すると一般アルバイト並みだが、後述の特別休暇と組み合わせれば実質的な収入減をカバー可能。 |
| 裁判員候補者の日当 | 1日あたり最大8,000円以内 | 選任手続(半日):約4,000円〜5,000円 | 選任から外れた場合でも出頭に対する補償として確実に支払われるため安心感がある。 |
| 旅費(交通費) | 自宅最寄り〜裁判所間の実費運賃 | 電車・バスの最も経済的な経路運賃(在来線・特急等規定あり) | 自家用車利用の場合は距離に応じたキロ単価計算となるが、原則は公共交通機関が推奨される。 |
| 宿泊料 | 1泊あたり定額支給(地域区分あり) | 1泊あたり約7,800円〜8,700円程度(政令指定都市等で変動) | 遠隔地から出頭し、当日中の往復が困難な場合に限り裁判所の判断で適用される。 |
交通費・宿泊料の計算と支給日はいつ?振込ルールを徹底チェック
日当と合わせて支給される交通費(旅費)は、自宅住所から管轄地方裁判所までの「最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路及び方法」で算出されます。裁判所へ事前に提出する回答票や質問票に記載した最寄り駅・利用路線に基づき、裁判所側のシステムで自動的に運賃が計算される仕組みです。
遠距離移動で新幹線や特急列車を利用できる基準は、片道の利用区間がおおむね50km〜100km以上など厳格に定められており、自由席特急料金相当額が支給されます。離島や山間部から出頭する場合、あるいは早朝の集合に間に合わない遠隔地に住んでいる場合は宿泊料が定額支給されますが、近隣住民が私的な理由でホテルに宿泊しても宿泊料は認められません。
支給日に関しては、かつてのように裁判終了時に現金手渡しされるケースは原則としてありません。出頭当日に提出した本人名義の金融機関口座に対し、手続き完了からおおむね2週間〜3週間後に一括して振り込まれます。選任手続きのみで終わった候補者の場合は出頭から約2〜3週間後、実際の裁判員として複数日従事した場合は、裁判結審後に全日程分がまとめて振り込まれる流れが定着しています。

【実態検証】会社を休むとどうなる?有給休暇・特別休暇と「給料二重取り」の真相
会社員が裁判員に選ばれた際、もっとも切実なのが「勤務先の給与はどうなるのか」「有給休暇を使わなければならないのか」という点です。労働基準法第7条(公民権行使の保障)により、労働者が裁判員の職務を行うために必要な時間を請求した場合、会社側はこれを拒むことができません。会社が拒否したり、参加を理由に解雇や減給などの不利益な扱いをすることは違法行為となります。
有給か無給かの扱いは企業の就業規則によって大きく分かれます。
大企業や公務員、上場企業を中心に「裁判員休暇」や「公民権行使休暇」といった有給の特別休暇制度を設ける職場が増えています。一方で、中小企業や一部の現場職では「特別休暇はあるが無給扱い」または「本人の年次有給休暇の取得を推奨」という運用も残っているのが実態です。
ここで頻繁に疑問視されるのが「会社の給料と裁判所の日当を両方もらうと二重取りになるのか?」という問題です。結論から言うと、会社の有給休暇や特別有給休暇を利用して給与を満額受け取りながら、裁判所から日当を受け取る行為は法律上完全に適法です。裁判員の日当は労働の対価ではなく公務に伴う実費弁償・手当という法的性質を持つため、会社側が日当分の給与を差し引いたり、日当を会社に返還させたりすることはできません。
SNSやコミュニティの体験談でも「特別休暇で給料が出たうえに日当が振り込まれ、実質的な手当としてプラスになった」という声が多く見られる一方、シフト勤務やインセンティブ比率が高い職種、日給月給制の非正規雇用者からは「無給休暇になると日当(1万円前後)では本来の稼ぎに届かず収入が目減りした」という切実な声も上がっています。
一般に知られていない盲点|日当の税金・雑所得と確定申告の落とし穴
裁判員の日当に関して最も見落とされやすいのが「税金」の取り扱いです。国から支給される公的なお金であるため非課税と誤解されがちですが、裁判員の日当は所得税法上の「雑所得」に区分されます。
交通費(実費)や宿泊料は非課税扱いですが、日当そのものは課税対象です。裁判所から日当が振り込まれる際、源泉徴収は一切行われません。そのため、受け取った金額がそのまま個人の雑所得として計上されます。
給与所得者(会社員)の場合、年末調整を受ける本業以外の所得(副業収入や株式の配当、暗号資産の利益、裁判員の日当など)の合計額が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。一般的な裁判員裁判は3日〜5日程度で終了するため、日当合計は3万円〜5万円程度に収まり、日当単体で20万円を超えることは稀です。ただし、以下のケースに該当する場合は注意が必要です。
- 副業や他の一時所得がある人:副業収入やフリマアプリの売上益などと合算して年間20万円を超えると確定申告が必須となる。
- 医療費控除やふるさと納税で確定申告を行う人:確定申告をする場合、20万円以下の雑所得であってもすべての所得を合算申告する義務が生じる。
- 住民税の申告:所得税の確定申告が不要な「20万円以下」であっても、お住まいの市区町村に対する住民税の申告は法律上必要となる。
裁判が終了すると、裁判所から「支払通知書」が郵送されます。この書類は確定申告を行う際の証明資料となりますので、手元に届いたら大切に保管しておく必要があります。

【制度の実像】拘束時間・日数と辞退理由の条件|参加確率はどれくらい?
実際に一般市民が裁判員に選ばれる確率はどの程度なのでしょうか。最高裁判所の公表データによると、有権者が1年間に裁判員候補者として選ばれる確率は約4,000人に1人〜5,000人に1人(0.02%〜0.025%前後)です。さらに、その中から実際の裁判員・補充裁判員として法廷に立つ確率はさらに低く、一生のうちに裁判員を経験する国民は極めて限られた割合にとどまります。
選ばれた場合の平均的な拘束時間は、審理日数として3日〜5日程度、重大事件や争点の多い裁判員裁判でも1週間〜2週間程度が標準的です。法廷での審理は基本的に午前10時頃から午後5時頃まで行われます。
仕事や家庭の事情でどうしても参加できない場合、裁判員法第16条および政令に定められた「正当な辞退理由」に該当すれば辞退が認められます。
- 70歳以上の高齢者
- 学生・生徒(大学院生・大学生・専門学校生など)
- 重い病気やケガで出頭が著しく困難な人
- 同居親族の介護・養育、あるいは冠婚葬祭など重要な私事がある人
- 重要な仕事の処理に従事しなければ、事業に著しい損害が生じる恐れがある人(自ら処理しなければならない納期直前の業務など)
- 過去5年以内に裁判員候補者として選任手続きに出頭した人、または過去7年以内に裁判員を務めた人
単に「仕事が忙しいから」「面倒だから」という曖昧な理由では辞退は認められず、具体的な支障内容を質問票に記載して裁判所に申し立てる必要があります。
【プロの結論】参加に向いている人・辞退を検討すべき人の明確な判断基準
裁判員の招集通知が届いた際、前向きに参加すべき人と、辞退の申し立てを速やかに検討すべき人の判断基準は以下の通りです。
【参加を前向きにおすすめできる人】
会社の特別休暇制度が整っており、有休を消化せずに給与が保障されている会社員・公務員です。司法の現場で実際の証拠や証言を吟味し、人の人生に関わる重責を担う体験は、社会人としての視野を劇的に広げる貴重な経験となります。また、日当と給料の両方を得られる環境であれば経済的な不利益もありません。
【辞退・日程調整を慎重に検討すべき人】
日給月給制や売上に直結するフリーランス・個人事業主で、1日1万円程度の日当では固定費や逸失利益を到底カバーできない人です。また、重大事件の証拠写真や生々しい犯行情景の審理に直面することで強い精神的負荷を受ける傾向がある人、パニック障害やうつ症状などの既往歴がある人は、無理をせず健康上の理由として辞退を申し立てることが自身を守る賢明な選択です。
【裁判員裁判 日当 いくら】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:裁判員候補者に選ばれて裁判所に行っただけで不選任になった場合、日当はもらえますか?
A1:はい、全額支給されます。選任手続きに出頭し、抽選や質問手続きの結果として不選任になった場合でも、拘束時間に応じた候補者日当(上限8,000円以内、通常は半日で4,000円〜5,000円程度)と往復の交通費が後日指定口座に振り込まれます。
Q2:日当から税金は源泉徴収されますか?確定申告は全員必須ですか?
A2:日当から税金の源泉徴収は行われません。日当は「雑所得」に該当しますが、会社員で給与以外の雑所得が年間合計20万円以下の場合は所得税の確定申告は不要です。ただし、他の副業収入がある場合や医療費控除等で確定申告をする場合は合算が必要となります。
Q3:車で裁判所に行きたいのですが、ガソリン代や高速代、駐車場代は出ますか?
A3:自家用車での出頭は、公共交通機関の利用が著しく不便な地域を除き原則として推奨されていません。自家用車を利用した場合、裁判所の規定に基づく直線距離や道路距離に応じた燃料費換算額が支給されますが、高速道路料金や裁判所周辺のコインパーキング代などは自己負担となるケースが多いため、公共交通機関の利用が無難です。
まとめ:最新ルールの把握と事前準備で安心して務めるために
裁判員裁判の日当は、裁判員で1日あたり最大1万900円、候補者で最大8,000円が支給され、さらに実費交通費が全額補償されます。法律上、会社を休む権利は厳格に守られており、特別休暇を取得しながら日当を受け取ることは二重取りではなく正当な権利です。
通知が届いた際は、まず自社の就業規則で「裁判員休暇」の有給・無給の規定を確認し、どうしても参加が困難な場合は正当な事由に基づく辞退申告を期日までに行いましょう。制度の金銭面・法的なルールを正しく把握しておくことで、突然の通知にも慌てることなく冷静に対処することができます。 (出典: 裁判員裁判 日当 いくら(Yahoo!ニュース))