暑気払いとは?納涼会との違いや開催時期・メール例文まで徹底解説
夏が本格化する季節になると、社内の連絡や取引先とのやり取りで「暑気払い(しょきばらい)」という言葉を目にする機会が増えます。古くからの慣習として定着している一方で、「具体的にどんな意味があるのか」「納涼会やビアガーデンと何が違うのか」「いつ開催するのがマナーとして正しいのか」といった疑問を抱くビジネスパーソンは少なくありません。
記録的な猛暑が長期化する昨今、単なる飲み会としてではなく、過酷な夏を乗り切るための健康維持やチームビルディングの一環として暑気払いの価値が見直されています。本稿では、暑気払いの本来の由来や納涼会・お中元との決定的な違い、失敗しない開催時期から、幹事に必須となる案内メール・挨拶・お礼状のテンプレート、費用相場までを徹底的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:暑気払いは「夏の暑さを払い除け、健康を願う」伝統儀礼であり、開催時期は夏至から処暑(6月下旬〜8月下旬)まで幅広く設定できる。
- 要点2:納涼会が「盛夏に涼しさを味わう」限定的な催しであるのに対し、暑気払いは精のつく食事や冷酒で体調を整える包括的なアプローチを指す。
- 要点3:社内・社外別の案内文テンプレート、乾杯挨拶の構成、のし紙の表書きや会費相場(5,000〜8,000円)を押さえることでスマートな運用が可能。
【意味と由来】暑気払いとは一体どんな意味?歴史的背景から紐解くルーツ
暑気払いの「暑気」とは、夏の厳しい暑さそのものや、暑さによって引き起こされる熱中症、夏バテ、食欲不振といった体調不良の総称を指します。すなわち暑気払いとは、文字通り「身体に溜まった熱気や病魔を払い除け、元気を取り戻す」ために行う行事や飲食全般を意味します。
その歴史は古く、平安時代にまで遡ります。当時の貴族たちは、冬の間に氷室(ひむろ)へ貯蔵しておいた貴重な天然氷を取り寄せ、削ってシロップ状の甘葛(あまづら)をかけて食したり、冷麦や素麺を口にしたりして暑さを凌ぎました。冷涼な食物を口にすることで身体を内側から冷やし、疫病が流行しやすい夏を無事に越そうと祈願した神事や宮中行事が、現在の暑気払いの原型とされています。
江戸時代に入ると、この風習は庶民の間にも広く浸透しました。当時の文献や川柳には、井戸水で冷やした麦湯(麦茶の原型)や甘酒、ビタミン豊富な枇杷葉湯(びわようとう)を売る行商人が街を行き交い、人々がそれらを飲んで暑さを吹き飛ばしていた様子が克明に描かれています。現代では「職場の同僚や友人と集まる夏の宴会」というイメージが定着していますが、本質的には「過酷な気候を生き抜くための養生と厄払い」という極めて合理的な知恵に基づいた文化です。

【決定的な違い】暑気払いと「納涼会」「お中元」の比較検証
ビジネスシーンで混同されやすい言葉に「納涼会」や「お中元」があります。それぞれの定義、目的、開催時期には明確な違いが存在します。
納涼会は「工夫を凝らして涼しさを創出し、味わうこと」に主眼が置かれます。屋形船や水辺のテラス席、怪談イベント、花火大会鑑賞など、「涼」を五感で体感するシチュエーションが好まれます。一方、暑気払いは手段を問わず「暑さを払って精をつけること」が目的となるため、冷房の効いた居酒屋でスタミナ料理を食べること自体が立派な暑気払いとして成立します。
| 区分 | 暑気払い | 納涼会 | お中元・暑中見舞い(ギフト) |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 暑さを祓い、スタミナをつけて健康を保つ | 暑さを一時的に忘れ、涼しさを楽しむ | 日頃の感謝を伝え、相手の健康を気遣う |
| 適切な時期 | 夏至(6月21日頃)〜処暑(8月23日頃) | 小暑(7月7日頃)〜立秋前日(8月7日頃) | お中元:7月初旬〜中旬 暑中:梅雨明け〜立秋 |
| 実施形態 | 宴会・食事会・贈答品(ビール・素麺等) | 屋形船、川床、ビアガーデン、夕涼み会 | 配送による物品の贈答 |
| 費用の目安 | 社内:5,000〜6,000円 接待:8,000〜12,000円 | 5,000〜8,000円(イベント会場費含む) | 3,000〜5,000円(品物代) |
お中元との関係性にも注意が必要です。お中元は東日本で7月上旬から15日前後、西日本で7月中旬から8月15日までに贈るのが通例です。もしお中元の時期を逃してしまった場合、立秋までは「暑中御見舞」、立秋以降は「残暑御見舞」、あるいは気軽な贈り物として「御暑気払」の表書きを用いてギフトを贈るという選択肢が存在します。
【開催時期】暑気払いはいつからいつまで?ベストなタイミングと贈答マナー
暑気払いの実施期間には厳格な法律上の決まりはありませんが、二十四節気に基づいた伝統的な目安が存在します。開始時期は昼が最も長くなる「夏至(6月21日頃)」から、終了時期は暑さが和らぎ始める「処暑(8月23日頃)」までが標準的な開催期間です。
実際のビジネス現場では、梅雨明け宣言が出される7月中旬から、お盆休み前の8月上旬にかけてピークを迎えます。連日の猛暑で疲労が蓄積し始めるタイミングで開催されることが多く、社員の慰労やモチベーション維持に適した時期となります。
贈答品としての暑気払い|のし紙・表書きのルール
会食の場を設ける代わりに、取引先や知人へ「暑気払い」として品物を贈るケースも一般的です。その際のマナーは以下の通りです。
- 水引の選び方:何度あっても喜ばしいお祝い・ご挨拶であるため、「紅白の蝶結び(花結び)」を使用します。
- 表書きの記載:水引の上部中央に「御暑気払」または「暑気御伺」と記します。目上の方へ贈る場合は「暑気御伺(しょきおんうかがい)」を用いるとより丁寧な敬意が伝わります。
- 名入れ:水引の下部に、送り主の氏名や会社名をフルネームで筆文字(または楷書体)で記載します。
【定番の食べ物】体を整える伝統食から現代のスタミナ料理まで
暑気払いで食される料理には、それぞれ医学的・栄養学的な根拠や厄除けの背景が備わっています。
1. 麦類(そうめん・冷麦・麦茶・ビール)
大麦や小麦は、漢方において「身体の熱を冷まし、喉の渇きを潤す」性質を持つ食材とされています。平安時代から続くそうめんは、細く長い形状から無病息災を願う縁起物でもありました。麦茶やビールも原料に大麦を使用しているため、暑気払いの定番として理にかなっています。
2. 滋養強壮食材(鰻・豚肉・牛肉)
土用の丑の日にも代表される鰻には、ビタミンAやビタミンB群が豊富に含まれています。また、豚肉に多く含まれるビタミンB1は糖質の代謝を促し、疲労物質の蓄積を防ぐ働きがあります。焼肉や豚しゃぶ、うな重などは、夏のスタミナ補給メニューとして不動の人気を誇ります。
3. 利尿作用と水分補給(夏野菜・瓜類)
きゅうり、すいか、冬瓜、ゴーヤ、トマトなどの夏野菜は、豊富な水分とカリウムを含んでいます。カリウムの利尿作用により体内の余分な熱と塩分を排出し、体温を下げる効果が期待できます。
4. 発酵食品と冷菓(甘酒・氷・かき氷)
江戸時代に「飲む点滴」として夏バテ防止に飲まれていた甘酒(米麹由来)は、必須アミノ酸やブドウ糖が豊富です。また、氷やかき氷は平安貴族以来の涼を得る伝統的な暑気払いスイーツです。
【文例集】ビジネスで使える案内状・挨拶・お礼メールテンプレート
幹事にとって最も神経を使うのが、関係者への案内文の作成、当日の乾杯挨拶、そして翌朝のお礼メールです。トーン&マナーに配慮した実用的なテンプレートを用意しました。
1. 社内向け案内メール(フランクかつ要点を整理)
社員の皆様
お疲れ様です。幹事を務めます営業部の〇〇です。
連日厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
日頃の業務への尽力に感謝し、過酷な夏を乗り切る英気を養う場として、
下記の通り営業部の「暑気払い」を開催いたします。
業務の合間のリフレッシュとして、ぜひお気軽にご参加ください。
記
■日時:202X年〇月〇日(〇)19:00〜21:00(受付開始 18:45)
■会場:〇〇 〇〇店(居酒屋)
住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3(〇〇駅 徒歩3分)
電話:03-XXXX-XXXX
■会費:〇,000円(当日集金いたします)
■回答期日:〇月〇日(〇)17:00まで
出欠の可否を本メールへの返信、または社内アンケートツールにてお知らせください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
--------------------------------------------------
幹事:営業部 〇〇(内線:XXXX / 携帯:090-XXXX-XXXX)
2. 取引先・社外向け案内状テンプレート(丁寧なビジネス文書)
〇〇株式会社
営業部 部長 〇〇 〇〇 様
拝啓
盛夏の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、連日の猛暑が続く中、日頃より多大なるご支援をいただいております皆様に感謝の意を表し、
暑さを吹き飛ばし親睦を深めていただきたく、ささやかながら暑気払いの席を設けさせていただきました。
ご多忙の折、誠に恐縮ではございますが、万障お繰り合わせの上、
ご来席賜りますようお願い申し上げます。
敬具
記
1. 日時:202X年〇月〇日(〇)18:30開宴(18:00受付開始)
2. 場所:ホテル〇〇 レストラン「〇〇」
住所:東京都〇〇区〇〇4-5-6
3. 会費:無料(弊社にてご招待申し上げます)
4. 出欠締切:〇月〇日(〇)
誠に勝手ながら、会場準備の都合上、〇月〇日までに添付の返信票または本メールへのご返信にて
出欠をお知らせいただけますと幸甚に存じます。
〇〇株式会社 営業部 〇〇 〇〇
TEL:03-XXXX-XXXX / Email:sample@example.com
3. 当日の挨拶・乾杯の言葉のポイント
乾杯の挨拶は「長引かせず、1〜2分以内で簡潔に終える」のが鉄則です。暑い中集まった参加者が速やかに喉を潤せるよう配慮します。
「皆様、今週もお疲れ様です。乾杯の音頭を取らせていただきます、〇〇部の〇〇です。
連日うだるような猛暑が続いておりますが、本日は日頃の激務を忘れ、冷たいお酒と美味しい料理でしっかり英気を養っていただければと思います。
皆様の健康と、部署のさらなる飛躍を祈念いたしまして、乾杯!」
4. 翌朝送るお礼メールのマナー
参加者や上司、取引先への御礼は、原則として翌営業日の午前中に送るのがビジネスマナーです。
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。
昨晩はご多忙の中、暑気払いにご参加いただき誠にありがとうございました。
また、多大なるご厚志(お心遣い)を賜り、心より御礼申し上げます。
普段なかなか伺えない〇〇プロジェクトの貴重なお話を伺うことができ、大変勉強になりました。
まだまだ暑い日が続きますので、どうぞご自愛くださいませ。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

【実態検証】参加者の生の声と現場目線で見えたリアルな失敗事例
職場の懇親会に対しては、世代や雇用形態によって受け止め方に差異が存在します。SNSの投稿や大手ポータルサイトのコミュニティ掲示板で確認されたリアルな声をもとに、幹事が避けるべき落とし穴を検証します。
【参加者から寄せられるリアルな不満点】
- 「炎天下の屋外ビアガーデンで、汗だくになりながら上司にお酌をするのは苦痛でしかなかった」(20代後半・IT企業勤務)
- 「アルコールが飲めない体質なのに、割り勘で一律7,000円を請求されるのは不公平感がある」(30代前半・メーカー勤務)
- 「金曜日の夜遅くまで拘束され、週末の体力が回復しないまま終わった」(20代前半・サービス業勤務)
失敗事例の多くは、「猛暑対策の不足(空調の効かない席の選定)」「費用と飲酒量の不公平感」「拘束時間の長期化」に起因しています。特に近年はハラスメントに対する意識の高まりから、無理な飲酒強要の排除や、ノンアルコール派への配慮が不可欠となっています。
【服装・ドレスコードの注意点】
暑気払いの服装は、基本的に勤務時の「クールビズ(ノーネクタイ・ノージャケット)」や「オフィスカジュアル」で問題ありません。ただし、取引先との会食や格式の高い料亭・ホテルレストランの場合は、ジャケット着用が望ましい場合もあります。案内に「当日は軽装(クールビズ)でお越しください」と一筆添えることで、参加者の迷いを解消できます。
【プロの結論】組織コミュニケーションの視点から見出すべき教訓
現代の組織において暑気払いを成功させる鍵は、「強制感を排除した心理的安全性の確保」と「選択肢の多様性」にあります。
全員参加を義務付けるのではなく、自由参加を明記した上で、ランチタイムを活用した「ランチ暑気払い(うな重弁当会など)」や、アルコールを伴わない短時間のケータリング形式を導入する企業が成果を上げています。業務効率と健康管理の両立が叫ばれる中、参加者全員が負担なく「夏を乗り切る活力」を得られる設計こそが、現代の幹事に求められる本質的な役割です。
【暑気払いの開催判断基準】
- 開催が推奨されるケース:プロジェクトの一段落による慰労が必要な時期、新メンバーの合流時、短時間(1.5〜2時間)で切り上げられる会場設定が可能な場合。
- 慎重になるべきケース:繁忙期で個人の疲労度が極めて高い時期、屋外など熱中症リスクが高い環境下での開催、ノンアルコールや個別会計への配慮が難しい店舗選び。
【暑気払いとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:暑気払いは8月下旬や9月に入ってから開催しても問題ありませんか?
A1:二十四節気の「処暑(8月23日頃)」を過ぎても、残暑が厳しい期間であれば開催自体に問題はありません。ただし、暦の上では秋に入っているため、名目としては「暑気払い」よりも「残暑払い」や「秋の懇親会」と言い換えると季節感が正しく伝わります。
Q2:お酒が飲めないメンバーが多い場合、どのような形式が適していますか?
A2:夜の居酒屋ではなく、ランチタイムに少し高級な鰻重やスタミナ御膳を取り寄せて社内で食べる「ランチ暑気払い」や、カフェやホテルのアフタヌーンティー形式での開催が非常に喜ばれます。飲酒を前提としない設計が満足度を高めます。
Q3:暑気払いのギフトとして贈る場合、どのような品物が人気ですか?
A3:定番は高級クラフトビール、上質なそうめん(三輪そうめんや揖保乃糸の特級品など)、冷やして食べる高級ゼリー・水羊羹、うなぎの蒲焼きセット、旬のフルーツ(桃・すいか・ぶどう)などが人気です。相手の家族構成や好みに合わせて日持ちのする商品を選ぶのが親切です。
まとめ:猛暑を乗り切る暑気払いの正しい活用法
暑気払いは、過酷な夏の暑さから身体を守り、無事に秋を迎えるための先人の知恵が詰まった伝統的な行事です。「涼を楽しむ」納涼会とは異なり、内側から元気をチャージして健康を維持することに本質があります。
ビジネスの現場においても、適切な時期の選定、丁寧な案内とお礼の励行、そして参加者一人ひとりの健康と多様性に配慮した柔軟な企画を行うことで、チームの結束力を高める絶好の機会となります。正しいマナーとポイントを押さえ、実りある暑気払いを実現してください。 (出典: 暑気払いtoha(Yahoo!ニュース))